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MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

エドムンド・デスノエスが昨年12月8日に亡くなりましたが、キューバの映画研究家J.A.G.ボレロ氏のFBの投稿に寄せられたコメントを通して、デスノエスが映画『低開発の記憶』(1968年、トマス・グティエレス・アレア監督)の脚本を書いただけでなく、その後6本の教育・文化的内容のドキュメンタリー映画を監督していたことが分かりました。

詳細は不明ですが、個人的に驚いたので、記しておきます。

 

Luis Najmias Little氏(CINEDの元関係者)のコメントより

デスノエスは、プロダクションCINEDで6本のドキュメンタリーを監督した。

また、同プロダクションの制作プランや監督たちとも積極的に関わっていた。

 

デスノエスが監督した6本のドキュメンタリー

1. Palma cubana (1974), de Edmundo Desnoes. Español

2. Versos Sencillos (1974), de Edmundo Desnoes. Literatura

3. Yo soy un hombre sincero (1975), de Edmundo Desnoes. Literatura

4. Sierra de Cubitas (1975), de Edmundo Desnoes. Geografía

5. Antonio Machado de España (1975), de Edmundo Desnoes. Literatura

6. Palma Parece (1976), de Edmundo Desnoes. Biología

 

※L.N.Little氏のコメントには、当時のデスノエスの写真も数枚投稿されていました。

また、当時の関係者から寄せられたコメントを通して、デスノエスが尊敬され、愛されていたことが分かり、嬉しかったです。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

 

今年は元日から北陸で大きな地震。

翌日には、海上保安庁の機体とJAL旅客機の衝突で、前者の乗組員5名が亡くなるという悲劇が起き、本当に辛く気の滅入る年明けとなりました。

 

その一方で、地震の起きた翌日の夜にはキューバの友人たちからMessengerやWhatsAppで「大丈夫だった?」と心配するメッセージが届き、地震のニュースがもう伝わっていることに驚くと共に、〈発信〉する必要を感じました。

 

それで、〈地震から遠い東京に住んでいるので無事でいること〉、〈でも、救援物資を積んだ飛行機と旅客機が衝突し、前者に5名の死者が出たこと〉〈この悲劇に皆が辛い思いでいること〉〈何も言えないが、被災地の方々も、戦争で苦しんでいる方々も、一日も早く普通の生活を取り戻せるよう願っていること〉をFBに投稿しました。


それに対し、また励ましや共感のメッセージをもらい、ありがたく思うと同時に、ネットやSNSのおかげで〈世界は本当に狭く、繋がりやすくなった〉と実感しています。

だからこそ、日本語でもスペイン語でも、きちんと発信していきたいと思います。

2023年に亡くなったキューバ映画人

 

1960年代キューバの文化シーンとその葛藤を肌で知る人々がいなくなっていくのは本当に淋しいですが、せめて証言を拾い集めて、書き留めていきたいです。


4月22日 マリオ・ガルシア・ホヤ(撮影)

訃報:撮影監督 マリオ・ガルシア=ホヤ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

5月21日 レオン・イチャソ(監督)

9月12日 ラウル・タラドリ(ICAIC創設時メンバー)
『アキラの恋人』の貴重な証言者のひとり

12月6日 エドムンド・デスノエス(作家・脚本家)

訃報:エドムンド・デスノエス | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
 

※映画人ではないが著名な作家・劇作家
5月21日 アントン・アルファー
訃報:アントン・アルファー(作家・詩人・劇作家) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

今月8日に開幕した恒例のハバナ映画祭こと「国際新ラテンアメリカ映画祭」。

44回目を数える今年は、199本のコンペ作品(キューバ映画は39本で、内12本は他国との共同制作)から、長編フィクション部門では、メキシコ映画の『トーテム』とアルゼンチン映画の『犯罪者たち』が最優秀作品賞を受賞しました。

 

両作品とも今年の東京国際映画祭で上映されましたが、来年には一般公開されるそうです!

【Totem(原題)】 | 第36回東京国際映画祭 (tiff-jp.net)

【犯罪者たち】 | 第36回東京国際映画祭 (tiff-jp.net)

 

ちなみに、キューバ映画では『La mujer salvaje(ワイルド・ウーマン)』(アラン・ゴンサレス監督)が審査員特別賞と国際シネクラブ選出の賞を獲得したほか、中・短編ドキュメンタリー部門で『El final del camino』(マリアグナ・ファハルド監督)が受賞を果たしました。

 

『ワイルド・ウーマン』トレーラー

 

ところで、今年も2本のキューバ映画(ドキュメンタリー)が検閲で外されました。

新人監督ルイス・アレハンドロ・イェロの『Llamadas desde Moscú(仮:モスクワからの電話)』と、ベテラン監督ファン・ピン・ビラルの『La Habana de Fito(ハバナのフィト・パエス)』です。

 

『(仮)モスクワからの電話』

 

『ハバナのフィト・パエス』

 

これに対し、まず映画祭開催前の2日、「映画人集会」グループがFBに長文の抗議声明を発表。作品の検閲および作家の排斥に強く抗議すると共に、そうした行為は内在する真の問題から目をそらし、キューバの文化と市民生活に深刻な害をもたらしていると告発しました。

 

その後、「映画人集会」の代表メンバーのひとり、エルネスト・ダラナス監督は、自作のドキュメンタリー『ランドリアン』上映時の挨拶で、検閲と作家に対する排斥を非難。

「ICAICを追放され、投獄され、亡命を余儀なくされた『ランドリアン』のケースは、決して過去のものではありません。いまだに映画人の作品に対し、また国民が自由に映画にアクセスする権利に対し、そしてこの愛する映画祭に対しても、検閲と排斥が行われています」「真の問題は、我々の映画にあるではなく、現実にあるのです」「ランドリアンは《映画人集会》の存在理由を体現しています」。「この上映を《映画人集会》と、検閲や排斥の対象となった仲間たちに捧げます」と発言し、会場の拍手を浴びました。

 

 

それから3日後、別の上映会でも、若手監督が挨拶のなかで検閲に抗議しました。

Otro cineasta contra la censura: El Festival de La Habana 'tiene el deber de ser más plural, inclusivo y justo' | DIARIO DE CUBA

 

このように映画人たちが、オープンな場で《検閲を非難し、表現の自由を求める声》を上げたのは初めてではないでしょうか。ネット空間を出て、公の場で声をあげたことは、人々に勇気を与えたのではないかと思います。

 

さて、ハバナ映画祭とほぼ同時期、12月4日から10日にかけて、キューバのインディペンデント映画をプロモートする「INSTAR映画祭」が、バルセロナ、ブエノス・アイレス、メキシコ・シティ、マイアミ、ニューヨーク、パリ、サンパウロで開催されました。

 

新キューバ映画の超国家的性格〉に焦点を当てた第4回目の同映画祭は、キューバと同じく専制的国家のニカラグア、ベネズエラ、ハイチ、イランの〈自国のタブーに挑戦する作品〉も招待。相互作用を探究し、対話の道を探りました。

 

尚、最優秀作品に与えられる「ニコラス・ギジェン・ランドリアン賞」は、MAFIFA(ダニエラ・ムニョス監督/ドキュメンタリー/2021年/キューバ)が獲得しました。

 

Mafifa

 

また、マルセル・ベルトラン監督の“Opción cero(オプション・ゼロ)”に「審査員特別表彰」が授与されました。

 

一方、キューバ文化省は、INSTAR映画祭で、キューバ出身・マイアミ在住のエリエセル・ヒメネス監督のドキュメンタリー”Veritas”が、1961年のヒロン浜(コチーノス湾)侵攻事件を歪曲する作品だとして非難。同映画祭がキューバに対するテロリズムを賞賛しているとして、反INSTAR映画祭キャンペーンを展開しました。

また、『(仮)モスクワからの電話』については、「革命に対する攻撃」と評したそうです。

 

文化省と映画人の分裂を招いている検閲。融和の糸口は、「映画人集会」の主張にあると思うのですが。

 

追記

14日、フィト・パエスが検閲を非難し、「映画人集会」を支持する動画を送りました。

 

エドムンド・デスノエスが亡くなりました。享年93歳。


私が最後に、おそらく2年ぶりくらいに彼にメールをしたのが昨年の4月末。
今、その時のメールを確認したところ「ロシアとウクライナの戦争が起き、核の使用の可能性が取りざたされる今、私は映画『メモリアス』と貴方のことを考えています。今ならほとんどの人がセルヒオのことを理解するでしょう」という書き出しで、彼の友人アンブロシオ・フォルネの訃報のことや、革命勝利後の文化シーンで、デスノエスたちがキューバに最先端の文学作品を紹介しようと努めていたことについてなど書いていました。

数日後に届いた返信は、パートナーのフェリシアさんからで「彼の健康状態は今弱っているけれど、回復したら貴方に返信するでしょう」というものでした。

そして、とうとう怖れていた日が来て、覚悟はしていたのに、辛く悲しい気持ちでいっぱいです。
と同時に、出会えた感謝、彼が繋いでくれた縁に感謝の思いも。

数日前から、10年前に彼が「遺書」という件名で送ってくれた講演原稿を少しずつ訳し始めていたところでした。
最後まで訳しきれるか分かりませんが、今後少しずつ紹介していきたいと思います。

今は、心よりご冥福をお祈りします。
こういう言葉を彼は受け入れないでしょうが…。

 

拙ブログのデスノエス関係の記事

デスノエス氏との出会い | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエス氏との出会い (2) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエスと「斜陽」(太宰治) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

「卵と壁」(4) デスノエスの返信 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

ミゲル・コユーラの受賞を喜ぶデスノエス | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

デスノエスをめぐる人間関係 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

人生の達成感~マリア・ロサ・アルメンドロス~ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

パディージャ事件とE.デスノエス | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

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デスノエス、J.カマチョの質問に答える(1) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエスから | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエスのインタビュー紹介 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

エドムンド・デスノエスの近況 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

1930年生まれの二人:喜びの報と悲しみの報 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

祝84歳!エドムンド・デスノエス近況 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

エドムンド・デスノエス近況(2014年5月撮影ビデオ) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

87歳を迎えたエドムンド・デスノエス | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

写真展「Cuba in Revolution」に寄せて(デスノエス) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

メモリアスⅠからメモリアスⅡへ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

映画公開から50年を経て:デスノエス・インタビュービデオ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエス・インタビュービデオ② (by Oncuba) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

デスノエス・インタビュービデオ③(Oncuba) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

デスノエスとバービー(バルバラ) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

訃報と共に友人が教えてくれたデスノエスとフェリシアさんの動画

 

E.デスノエスが監督した6本のドキュメンタリー | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

「第20回ラテンビート映画祭特別企画」が本日より開催されます!

 

以下は、Facebookからの抜粋情報
【いよいよ12/1(金)より上映スタート!】
ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田 にて開催の特別企画!
🎬 J・A・バヨナのNetflix作『雪山の絆』【最速上映】
🎬アルモドバル最新作『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』!

🎬往年の大スター出演の貴重な邦画

『闘牛に賭ける男』
『キューバの恋人』 12月3日 15:50~@ヒューマントラストシネマ渋谷


映画祭の詳細は公式サイトにてご覧ください。

https://lbff.jp/

Marysolより
『キューバの恋人』は、チェ・ゲバラが亡くなった翌年(1968年)のキューバを横断しつつ、活写したロードムービー。その結果、フィクションでありながら、歴史的に貴重なドキュメンタリーとして、キューバ人批評家に評価されています。

 

この再発見に繋がったのが、2010年にマリアン・ガルシア監督によって製作された『アキラの恋人』

アキラの恋人

 

そして、2017年には、今最も期待されているカルロス・キンテーラ監督によって『東の狼』が日本で藤竜也を主人公に製作されました。


日本とキューバを映画でつなぐ『キューバの恋人』をこの機会にぜひご覧ください!

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『アキラの恋人』マリアン・ガルシア監督インタビュー

キューバの新聞に監督インタビュー掲載! | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

救われた映画の記憶(2) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

救われた映画の記憶(3) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

救われた映画の記憶(4) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

『東の狼』について
『東の狼』@ハバナ映画祭(2017年12月10日鑑賞) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
『東の狼』:キューバ人批評家 D.L.レジェスのレビュー | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

『東の狼』レビュー | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

長らくブログをお休みしてしまいました。
実は先月半ば、4年半ぶりの海外旅行でスペインへ行ってきました。

今回は友人6人とマドリッドを中心にトレド、クエンカ、セゴビア、アビラへ。

 

マドリッド シベーレス宮殿屋上から

トレド

トレドといえば〈エル・グレコ〉

 

クエンカ:世界遺産

★「宙づりの家」*この写真はネットから拝借↓

憧れのパラドールに宿泊

 

セゴビア

アルカサル(ディズニー映画「白雪姫」の城のモデル)

ローマ水道橋

セゴビア名物〈子豚の丸焼き〉

 

レストラン「カンディド」では名物の儀式も見られました。

(口上のあと、焼いた子豚を皿で切るパフォーマンスは 2:22~)

 

城壁の都市 アビラ

 

アビラといえば〈サンタ・テレサ・デ・ヘスス〉

聖女テレサは、戒律が非常に厳しい「裸足のカルメル会」の創始者

 

マドリッド

プラド美術館  ベラスケス像の前で

 

ゲルニカ@ソフィア王妃文化センター

*写真撮影がOKになっていました。

 

マドリッドの楽しみはワインと食事😋

パエーリャ

 

魚介類(7人でも食べきれなかった!)

 

サン・ミゲル市場で食べ歩き

 

 

「ボティン」は世界最古のレストランで、ヘミングウェイも通った。

 

個人的あれこれ
マドリッドには、今から半世紀近く前(1976~77年)に、留学生として10か月ほど暮らしていたのですが、その後は滞在したことがなかったので、街の変化はもちろん、私が暮らしていた女子寮「コレヒオ・デ・サンタ・テレサ・デ・ヘスス」がどうなっているか、見届けるのが最大の関心事でした。

半世紀前には無かった高層ビルが立ち並んでいて、ビックリ(まるで浦島太郎💦)

右端の「コロン記念碑」も立つ瀬がない…

 

私が居た女子寮は、オルテガ=マラニョン財団本部になっていました。

住所は Fortuny 53         外装は変わっていたけれど…
 

 

建物は半世紀前と同じ。当時の寮の写真↓バラの咲く花壇やベンチがあった…

*日本から来た両親と寮の友達(アルゼンチンとボリビア出身)

 

★大好きな「ソローリャ美術館」は元寮の斜め向かいに健在。

 

私が居た頃(独裁者フランコの死の1~2年後)には存在しなかった

ガルシア・ロルカ像(広場の名前は不明)

 

カサ・デ・アメリカ:キューバやラテンアメリカの文化紹介の中心地

 

クエンカの「宙づりの家」=「スペイン抽象美術館」でアントニオ・サウラの作品と遭遇!

*A.サウラはキューバ映画『低開発の記憶』のポスター作者

 ちなみにスペイン映画の巨匠カルロス・サウラの兄

 

 「低開発の記憶」ポスター

 

 

プラド美術館ではゴヤの作品を観ながらデスノエスとの対話を思い返していました。

ゴヤの不快な覚醒 -lucidez desagradable- | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

『宮廷画家ゴヤは見た』 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

☆プチ贅沢旅行
トレド、クエンカ、セゴビア、アビラには、専用車(バス+運転手)で行きました。
観光地ではローカルガイドが付く規則のようでしたが、私たちは、日本人ガイドさんも(トレド・セゴビア・アビラで)事前にお願いしておきました。

その日本人ガイドさんとの初対面では、何度も「〇〇さんですよね?」と確認されてしまいました!というのも「学生グループと聞いていた…」そうで。

「あ、元学生です。半世紀前の…」と言って、皆で大笑いしました。

 

実はガイドさん、「今どきの学生は、専用車に乗ってパラドールに泊まるのか⁉」と訝(いぶか)っていたそうです(笑)

 

親切で、説明が上手で、素敵なガイドさんでした。

 

帰りは、ドバイ経由だったので一泊して観光しました。

百聞は一見に如かず。

驚きの連続でした!

  

 

  

 

『エル・マヨール(少将)』原題:EL MAYOR/2020年/キューバ/112分/歴史ドラマ

 

 

監督:リゴベルト・ロペス・ペゴ (1947-2019年)

脚本:リゴベルト・ロペス・ペゴ、エウヘニオ・エルナンデス・エスピノサ

撮影:アンヘル・アルデレテ

編集:ベアトリス・カンデラリア

音楽:ホセ・マリア・ビティエル

製作:ICAIC、文化省、革命軍

 

出演:ダニエル・ロメロ、クラウディア・トマス、アラミス・デルガード(特別出演)ほか

 

内容

第一次独立戦争(1868~78年)におけるカマグェイのマンビー軍司令官、イグナシオ・アグラモンテ・ロイナス(1841~1873年)の秀でた人間性と、大胆で華々しい戦いぶりを中心に据えつつ、随所に妻となる女性、アマリア・シモーニとの愛の交流を織り込むことで、伝説的英雄の人間的魅力と歴史的功績を伝えている。

 

印象に残った点

・グアイマロ会議 

 カルロス・マヌエル・デ・セスペデス大統領兼解放軍総司令官との意見の相違。

地域主義を排し、キューバ人としての統一を唱えるアグラモンテ

・先に独立を果たしたラテンアメリカ諸国が独裁政治を招いたことを指摘し、それを避けるよう警告するアグラモンテ。

・スペイン軍の過酷な支配と、キューバ人の中に育つ独立と自由への意思

・マチェテで戦うマンビー軍の脅威

 

見どころ

・グアイマロ会議やサンギリ旅団長の救出といった史実

・迫力ある戦闘シーン…200頭の馬と500人のエキストラを使用

・カマグェイ市にある歴史的建物で撮影

・戦場から妻に送った思慕に満ちた手紙

 

尚、残念なことに、監督は完成した映画を観客と観ることなく早世した。

 

GRULAC主催のフィルムフェスティバルで鑑賞(日本語字幕付き)

 せっかくの日本語字幕付きでしたが、歴史的詳細を知らないため、理解が字幕に追い付きませんでした。

 マチェテで戦うマンビー軍の脅威は『マチェテの戦い』のときに知りましたが、本作でも強調されていたように思いました。

 

☆トリビア

主役を演じたダニエル・ロメロと妻役のクラウディア・トマス結婚

でも、この夫婦もキューバを去り、今はマイアミ在住。

イギリスによるハバナ占領時代(1762~63年 →11か月)



1762年、ハバナはのモロ要塞は、イギリス政府公認の海賊を含む200隻を超える大艦隊による攻撃を受け、スペイン軍は善戦むなしく敗北。
8月12日に降伏の調印が行われ、ハバナはイギリスの支配下に置かれるた。

注:東部はスペイン植民地下のままで、中央政府はサンティアゴ・デ・クーバに置かれた。

 

イギリスによる統治は1年に満たなかったが、意外にもプラスの面をもたらした。


・産業面では、砂糖キビ原材料輸出という初歩的な形態から、砂糖に加工してからの輸出という産業構造に転換することに成功し、キューバの軽工業力は飛躍的に向上した。


・また、交易相手も、スペインだけからではなく、アメリカを含むカリブ海地域への自由貿易が可能とない、アメリカの独立戦争(1775年~)での特需により貿易量も大幅に増大した。

尚、この自由貿易制度は、スペインの植民地に戻った後も継続された。


・この自由貿易の影響によって、国際的な見識をもつ商人や文化人などが多く出現し、外地で生まれたスペイン人というものではない「キューバ人」としての強いアイデンティティーが培われるきっかけとなった。


参照資料:ウェブ版キューバ革命史 Vol.5

 

Marysolより一言

イギリスがキューバを統治していた時代があったことは、トマス・グティエレス・アレア監督の経歴を紹介したときに知り、気になっていました。

その後、アレア作品を紹介する過程で(直接的な関係はなくとも)カトリック・スペインの統治に対し、”異端”視されたプロテスタント国家が与えた進歩的影響について、自作で言及し織り込んでいることが分かりました。

 ★発展を妨げる〈閉鎖的思想〉対〈自由思想〉

『悪魔と戦うキューバ人』:F.ペレス監督の解説 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

映画『グァンタナメラ』鑑賞のポイント | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

先日FBでヘミングウェイの貴重な映像が投稿されていたので、紹介します。

1954年、ノーベル文学賞を受賞したときのもので、キューバの自宅、フィンカ・ビヒアでインタビューを受けています。そして、コヒマールの人々を“高貴”と讃えています。
肉声を通して、改めて「老人と海」に込められた作家の真意に触れてください。

 

   


ちなみに、この動画を投稿したサイトによると〈ヘミングウェイがスペイン語で話している唯一の映像かもしれない〉そうです。


 

私が“高貴”と思うキューバ人は、アレア監督を始めとする幾人かの映画人。
あ、我が師、マリオ・ピエドラ教授も高貴な精神の持ち主です。

 

追記:

「革命前のキューバといえば、アメリカの属国のような扱いだった。アメ車が道路を闊歩し、大リーガーがキャンプにやってくる。そうした場所に住む貧しい無名の漁師が、実はアメリカ人たちを超える高貴な精神性を持ち合わせていた、というのが本書のメッセージだ」

 

「老人の頭のなかで、海は一貫して”ラ・マール”だった。スペイン語で海を女性扱いしてそう呼ぶのが、海を愛する者の慣わしだった」 以上、都甲幸治氏の解説より。

 

都甲氏の解説のおかげで、上のインタビューでヘミングウェイが「ラ・マル」と女性名詞で呼ぶことにこだわる理由が分かりました(ヘミングウェイのスペイン語では分からない💦)。

 

いっそスペイン語のタイトルを ”EL VIEJO Y LA MAR” にする方が良いのでは?

 

拙ブログ関連記事

ヘミングウェイとキューバ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

『低開発の記憶(仮題)』とヘミングウェイ | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

余談

断捨離をしていたら、2015年12月の日経新聞の切り抜きに「ヘミングウェイ博物館(フィンカビヒア)」に関するニュースがありました。
以下、抜粋。( )はMarysolが追加。
「61年に米国で(ヘミングウェーが)猟銃自殺後、メアリー夫人が邸宅をキューバに寄付し、博物館として公開された」
「米国とキューバが断交して以降、所蔵品の劣化が進んでいたが、オバマ米政権は国交正常化交渉開始を表明した2014年12月、住宅向け建築資材の輸出を解禁する方針を発表。ヘミングウェーの編集者の孫らが設立した米ボストンの(フィンカビヒア)財団は今後、86万ドル(約1億円)相当の建築資材をキューバに本格輸送する。これを受け、キューバの建築家らが年明けから高性能の空調装置を完備した2階建て施設お建築に取りかかる。完成は2017年の見込みだ。

「博物館には現在、蔵書訳9千冊、写真数千枚、愛用の机、タイプライター、地球儀、トカゲの剥製などが保管・展示されている」