「福田村事件」とアレアの批評精神 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

「福田村事件」を観てきました。

 

本作のことはクラウドファンディング募集時(昨年4月)に知り、参加したので、鑑賞券を持っていました。

まず、クラファンに参加した理由は、昨今の政治家たちの歴史隠ぺいや公文書破棄、マスコミの劣化に対する憤り。
そして《熱狂する集団心理の危うさと、個を貫く大切さ》という点。

 

 

関東大震災後の流言飛語で多くの朝鮮人が殺されたことは知っていたつもりでしたが、朝鮮人と間違われて殺された香川の行商人一行=「福田村事件」のことは全く知らなかったし、社会主義者が殺されていたことも知りませんでした。

自国の負の歴史と向き合うのは辛いですが、知ることでプラスの経験に変えねばいけない、と思います。

森達也監督は「反日映画として炎上するかもしれない」と危惧したそうですが、私が「反日映画ではない!」と思えるのは、キューバ映画人、とりわけトマス・グティエレス・アレア監督の次の言葉のおかげ。自国を批判(または批評)的に観ることの大切さを理解しました。

アレア監督の視点:芸術と批評行為(もしくは社会批判) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

キューバ映画がなぜ国民に支持されてきたのか?
その大事な点が日本では理解されていない気がします。

そしてキューバ映画人は今も検閲と闘っています。
多くの映画人が祖国を離れてしまいましたが…

 

「福田村事件」は反日映画ではありません。

むしろ日本を良くするための映画だと思います。

そして同調圧力の強い日本社会で〈個を貫く〉ことの大切さを噛みしめています。

 

  

 

余談

鑑賞中、〈当時朝鮮の人たちが日本人にいじめられたり、ひどい目に遭っていた〉ことが伝わってきて、かつて韓国旅行に行ったとき、謝罪を求められたことを思い出しました。

関心のある方は、下のブログ記事の後半をお読みください。

読み返してみて「知らないでいることは怖い。お詫びの気持ちを伝えられて良かった」と改めて思いました。繰り返したくない経験ですが…

謝罪 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

 

追記①

映画「福田村事件」森達也監督はなぜ埋もれた事件を撮ったのか - #クロ現 取材ノート - NHK みんなでプラス

 

追記②

「最高の愛国心とは…」
 パンフレットの中で荒井晴彦さん(企画・脚本)は、「最高の愛国心とは、あなたの国が馬鹿みたいなことをしている時に、それを言ってやることだ」という言葉を引用している。自分たちの社会の黒歴史を無かったことにせず直視する姿勢は、「自分たちの社会をもっと良くしたい」という前傾姿勢の表れだ。
 「こんなクソ社会、これからどんなに混乱や分裂が進んでも知ったこっちゃない」と思っていたら、ここまで途方もない苦労をしてこんな映画は作れないし、製作費を募るクラウドファンディングだってこんなに集まりはしない。それが実現したということは、話の内容は絶望的だけど『福田村事件』は実は希望の映画なんだと思う。

*アレア監督と同じことを言ってますね。