『FIDEL』 米国製DVD | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
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                  『FIDEL』 米国製DVD(206分)

Fidel (DVD)

前回のブログで紹介した日本版DVD『チェ・ゲバラ&カストロ』オリジナル版が、きょうご紹介する米国製DVD『FIDEL(フィデル)』
こちら、中身は206分。対する日本版は120分
ということは、その差約1時間26分。映画1本分くらい違いますね。


私がメキシコ帰りの知人から借りたディスク(=テレビ映画)は、おそらく米国版DVDの吹き替えだったのでしょう。
この機会にあらためて見直してみたら(と言っても革命闘争部分が抜けているのですが)、とりわけ革命後のエピソードがはるかに充実しています。
どうりで、日本版は最後が“はしょり過ぎ”に見えたはず。
しかも、60年代後半からの出来事こそ、私が最も知りたいところ。


では“日本版にはない米国製DVDの(後半部の)シーンは?”というと:

“ルネス・デ・ラ・レボルシオン”の廃刊 (カストロの文化政策)
“国際主義”よりキューバ国内の問題解決を求める民の声
牛乳の十分な供給が達成できなかった事情
肉体労働よりも商売で利益を得ようとする行為へのフィデルの不満
セリアの臨終など


で、全体を通して受けるフィデル・カストロ議長の印象は、あらゆることに口をはさみ、思い通りにいかないと癇癪を起こす、“革命”という大義を守るために、すべてに犠牲を強いる、という困ったイメージ。


でも最後は、カストロの米国に対する問いかけで終わります。
(要約すると)「40年間というもの我々は暗殺の標的となり、経済的・政治的攻撃を受けてきた。

40年間、あらゆる非民主的なやり方で、我が国を破壊しようとする試みが行われてきた。“キューバは非民主的だから”という口実のもとに。

40年間だ。しかも、いまだに彼らは隣国が自ら決断を下すことを拒み続けている。それが民主主義なのか?(民主主義とは)自分たちに同意しない者を罰することなのか?
50年前あなたたちはキューバを搾取しようとしていた。1959年以来、今度はキューバを破壊しようといている。それが民主主義か?」


「あらゆる破壊の試みを凌いで生き延びてきたことを我々は誇りに思っている。今さら革命を放棄するとでも思っているのか?・・・私が革命を売ると思うか?私は決して革命を裏切りはしない。たとえ最後の一人になろうとも私は戦い続けるだろう」


う~ん、こうして書き出してみると、米国の作品とは思えないくらいフィデルの心情を汲んでいる台詞ですね~。皆さんは、どう思われますか?


あと、後半部ではありませんが、モンカダ襲撃後の裁判でフィデルが発した有名な言葉「歴史は私に無罪を宣告するだろう」演説シーンが日本版にはないのも残念。


・・というわけで、日本版と米国版(と思われますが、私が参照したのはメキシコの)を比べてみました。
DVD購入をお考えの方は、日本語でコンパクトに見たいか英語で長く見たいか、検討してみては?


そうそう、あと日本版・米国版とも、エンド・クレジットの前に主な登場人物のその後の消息が紹介されているのが興味深いです。


時代のせいか、フィデルのせいか、みな波乱万丈の人生。

また、すでに幕を下ろした人、まだ下ろしていない人・・・いろいろです。

そして人生は続く・・・歴史も・・・