口笛高らかに | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

口笛高らかに(La vida es silbar)1998年/106分/キューバ・スペイン合作


監督:フェルナンド・ペレス
脚本:フェルナンド・ペレス、ウンベルト・ヒメネス、エドゥアルド・デル・リャノ
撮影:ラウル・ペレス・ウレタ
音楽:エデシオ・アレハンドロ
編集:フリア・イップ


あらすじ


この映画には3人の主人公が登場するが、物語の案内役となるのはベベという少女だ。
彼女は言う「私は独りぼっち。でも(周囲と調和した)心地よい孤独。ハバナも独りぼっち。でも私とは違う。私は幸せ。だから、私は愛する3人を探す。私と同じように幸せになって欲しいから」。


彼女が愛する3人(映画の主人公)とは、マリアナ、エルピディオ、フリアのこと。
ベベとマリアナとエルピディオは、孤児院で一時期を共に暮らした間柄だ(フリアとの関係は、明らかではないが、観れば推測できる)。
「口笛を吹いてはいけない」という孤児院の規則を守らない幼いベベは、皆に悪影響を及ぼすという理由で、孤児院から出されてしまう。


それから10数年後、世紀末のハバナに暮らす主人公各人のドラマが、超次元的なところに身を置くベベの視点を通して語られる。


エルピディオは、社会のアウトサイダー的存在のミュージシャン。彼は、母なるキューバが期待する“最高の人間”像になれなくて、母から見捨てられたと感じている。そんな折、調査でキューバを訪れた外国人女性と恋愛関係になり、彼女の誘いに応じて国を出ようかと迷う。


マリアナはバレリーナ。仲間内では彼女の踊りにかける情熱もさることながら、男に対する情熱でも有名だ。そんな彼女の夢は、ジゼルの主役を射止めること。ジゼルを踊るという夢をかなえるために、教会で神に「もう二度と男とベッドを共にしない」と誓いを立てる。だが、あろうことか、相手役の男性と互いに愛し合うようになってしまい、神への誓いと彼への思いに葛藤する。


フリアはずっと他人のために生きてきた中年の女性。だが近ごろ原因不明のあくびに悩まされている。また、“セックス”という言葉を聞くと、なぜか気を失ってしまう。
彼女を診た精神分析医は、気絶の原因は“聞きたくない言葉”を聞いたせいだと指摘する。
しかも医者は、街にはフリアのような人がたくさんいると言い、通りを行く人々に向けて様々な‘禁句’を投げかける。すると、皆バタバタと気絶してしまう。医者はフリアに対して、自尊心にとらわれず、勇気を出して現実と向き合うよう説く。


こうして3人の主人公は、内面的葛藤に苦しみながらも、自分の幸せに向かって一歩踏み出す決意をする。そして運命の日、12月4日を迎えて…



*この映画は、昨年(2004年)NHK・BSで、テレビ放映されました。


*いつものように日を改めて、作品ノート 等を掲載する予定です。


マリオ・ピエドラ教授のコメントhttp://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10001764614.html